夏休みの自由研究にフラクタル:テーマ例と進め方

テーマ例

フラクタルは、紙と鉛筆でも、パソコンでも調べられるので、自由研究に向いています。学年や興味に合わせて選んでください。

小学生向け

- 身近なフラクタルを探そう: シダの葉、ブロッコリーやロマネスコ、木の枝、川の地図などを観察し、写真やスケッチで「部分が全体と似ている」ところを記録する。
- シェルピンスキーの三角形を手で描こう: 大きな三角形の各辺の真ん中を結んで、真ん中の三角形を塗らずに残す。これを 4〜5 回繰り返し、残った三角形の数(1, 3, 9, 27, …)と、塗った面積の割合を表にまとめる。

中学生向け

- サイコロでカオスゲーム: カオスゲームの手順で、サイコロを使って点を 100〜200 個打ち、ギャスケットが現れるかを確かめる。点の数を増やすと形がどう変わるかを、シミュレーターの結果と比べる。
- 初期図形を変えても同じ形になる?: ステップ表示で初期図形を三角形・正方形・顔に変え、Step 0〜6 の画像を並べて比べる。
- 海岸線の長さを測ろう: 地図の海岸線を、コンパスの幅を 2 cm、1 cm、5 mm と変えながらたどって長さを測る。幅を小さくすると長さがどう変わるかをグラフにする。

高校生向け

- 方眼紙でフラクタル次元を測ろう: 葉の輪郭、雲や海岸線の写真に方眼を重ね、線がかかるマスの数を、マスの大きさを変えながら数える。両対数グラフの傾きから次元を求める(→ ボックスカウント法)。
- 係数を変えて自分のシダを作ろう: バーンズリーのシダの係数を 1 つずつ変え、形がどう変わるかを記録する。回転の成分()を変えると、シダ全体の曲がり方が変わる。
- 確率を変えると何が変わる?: カオスゲームで写像を選ぶ確率 を変えても、形は変わらず点の濃さだけが変わることを、画像を並べて確かめる。

研究の進め方

  1. 疑問を 1 つに絞る: 「フラクタルについて調べる」では広すぎます。「方眼の大きさを変えると、数えたマスの数はどう変わるか」のように、答えが数字や画像で出る問いにします。
  2. 予想を書く: 実験の前に、結果の予想と、そう考えた理由を書いておきます。予想と違った結果こそ、考察のよい材料になります。
  3. 条件をそろえて調べる: 変える条件は 1 つだけにします。シミュレーターを使う場合は、「この図形の URL をコピー」で条件を記録しておくと、あとで同じ図形を再現できます。
  4. 記録を残す: 測った数値は表にし、画像はシミュレーターの「高解像度 PNG 保存」で保存します。手で数える場合は、同じ測定を 2〜3 回繰り返して平均をとると信頼性が上がります。
  5. グラフにする: ボックスカウント法では、横軸に 、縦軸に をとります。対数は関数電卓や表計算ソフトの LOG 関数で計算できます。

まとめ方・発表のコツ

注意点

数学的な解説

ハッチソン作用素と反復関数系(IFS)

有限個の縮小写像の組 (縮小率 )を反復関数系(IFS)と呼びます。平面のコンパクト集合 に対するハッチソン作用素 を次で定義します。

コンパクト集合の空間にハウスドルフ距離 を入れると完備距離空間になり、 は縮小率 の縮小写像になります。したがってバナッハの不動点定理により、初期図形 が三角形でも正方形でも顔の絵でも、 はただ一つの図形 (アトラクター)に収束します。シミュレーターの「ステップ表示」は、この を と順に描いたものです。

ほかの解説記事