バーンズリーのシダ(Barnsley Fern)
- 分類: 植物・樹木
- 写像の数: 4 個(相似変換 1 個)
- 次元 ≈ 1.816(推定)
ステップ 0〜5 の変化
完成図をちょうど囲む長方形(Step 0)に、4 個の写像をまとめて当てはめる操作(ハッチソン作用素 )を繰り返した図です。色は最初に当てはめた写像を表します。






概要
わずか 4 つのアフィン変換で、本物そっくりのシダの葉を描ける図形です。数学者マイケル・バーンズリーが著書『Fractals Everywhere』(1988年)で紹介しました。チャセンシダの仲間(Asplenium adiantum-nigrum)を手本にしたものとされています。
葉全体の形、左右に出る小葉、小葉からさらに出る裂片が、どれも全体をゆがめて縮小した形になっています。ギャスケットのような「そのままの縮小コピー」ではなく、縦横の倍率や傾きが違う写像を含むため、相似次元(モランの式)は使えません。このサイトでは、カオスゲームの点からボックスカウント法で次元を推定しています。
「複雑に見える自然の形も、少数の規則の繰り返しで表せる」ことを示す例として、フラクタルや画像圧縮の説明でよく使われます。
アフィン変換の係数
各写像は で、 はカオスゲームで選ぶ確率です。
| 写像 | a | b | c | d | e | f | p | 種類 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| f1 | 0 | 0 | 0 | 0.16 | 0 | 0 | 0.01 | 線につぶす |
| f2 | 0.85 | 0.04 | -0.04 | 0.85 | 0 | 1.6 | 0.85 | 相似(0.851 倍) |
| f3 | 0.2 | -0.26 | 0.23 | 0.22 | 0 | 1.6 | 0.07 | アフィン |
| f4 | -0.15 | 0.28 | 0.26 | 0.24 | 0 | 0.44 | 0.07 | アフィン |
次元
| 理論値 | —(文献で確認できる値がないため記載していません) |
|---|---|
| 相似次元 | —(相似変換でない写像を含むため算出対象外) |
| ボックスカウント次元(推定値) | 1.816(100万点・1 辺 16〜512 分割、決定係数 R² = 1.0000) |
相似次元は、開集合条件を満たす場合にハウスドルフ次元と一致します。
| 1 辺の分割数 | 点を含む箱の数 |
|---|---|
| 16 | 93 |
| 32 | 313 |
| 64 | 1,108 |
| 128 | 3,966 |
| 256 | 14,100 |
| 512 | 49,268 |
次元の求め方は「フラクタル次元の求め方」で解説しています。
作り方
- 写像 は図形を幅のない線(または点)につぶします()。(0, 0) を通る線分になり、茎や幹を描きます。
- 写像 は図形を 0.851 倍に縮小して-2.7° 回転し、平行移動 (0, 1.6) します(相似変換)。
- 写像 は向きによって 0.305〜0.341 倍に縮め、傾きを変えながら平行移動 (0, 1.6) します(面積は 0.104 倍)。
- 写像 は向きによって 0.287〜0.379 倍に縮め、反転を含めて傾きを変えながら平行移動 (0, 0.44) します(面積は 0.109 倍)。
4 つの写像の役割を、シダの部位に対応させると次のようになります。
- (茎): 横方向の倍率が 0 の写像で、図形を縦の線分につぶします。これが葉の中心を通る茎になります。
- (葉の上の部分): 全体を 0.85 倍に縮めて少し傾け、上へずらします。シダの「下の小葉 1 対を除いた残り全体」が、シダ全体の縮小コピーになっていることを表しています。
- ・(左右の小葉): 全体を縮小・回転して、茎の根元から左右に出る一番下の小葉を作ります。 は反転を含み、左右で向きが逆になります。
カオスゲームで選ぶ確率は、 を 85%、・ を 7% ずつ、 を 1% にしています。確率を均等にすると、点が茎や根元に集まり、上の方の葉がほとんど描かれなくなります(→ 確率 p の決め方)。
関連する図形
出典・参考文献
- M. F. Barnsley, *Fractals Everywhere*, Academic Press, 1988.